2016年3月26日土曜日

与喜山第10次調査(2016.3.22-23)―踏査編―

目的

  • 「仙宮のたき」の特定
  • 下写真の場所(以後「三の磐座」と呼ぶ)の特定




踏査ルート


結果

  • 北の谷にて、沢が小さな段差になっている地点を4カ所確認したが、滝と呼べるほどの場所は確認できず(少なくとも『長谷寺境内図』に描かれている規模の滝は存在しない)
  • 「三の磐座」の写真地点を発見できず。

踏査初見(各地点の説明)

ア.金子宮司が指摘した堝倉神社旧社候補地(過去報告済)

ワニの背中のような規則的な石列? (この辺りはやや平坦)

 石列の北に控える巨岩

巨岩最上部にある岩石群。イ地点の「重岩」と似ている?

イ.藤本浩一『磐座紀行』で「二の磐座 重岩」と紹介された地点(過去報告済)

五輪塔の下三輪のようだと藤本浩一は形容する

ア地点と位置的にも形状的にも類似する下三輪

ウ.植林地帯と天然林の狭間に立つ、山の主のような巨木
写真で存在感が伝わらないのが残念。この尾根には他にめぼしいものはない

エ.2つの沢が合流する地点。小規模の段差だが「仙宮の滝」候補の1つ。
写真中央部の段差で水がしたたり落ちる

オ.2つの谷の合流地点に広がる一大巨岩群。湧水もあり「仙宮の滝」候補の1つ(過去報告済)

写真一面全て巨岩。巨岩の手前から水がしみ出している。雨天時に滝になるか不明。

カ.山頂尾根の南端に存在するドルメン状の岩石群(過去報告済)

誰もこの岩石群に言及していないが、立地面・外見面でインパクトは大きい

キ.これもドルメン状と形容しても良い岩石群。主石より支石の方が大きいが。

組石というより、同じ岩塊の亀裂の上に転石が重なったという趣

ク.北の谷でも最も北方に属する尾根。ここにあった唯一の目立つ岩石

船形だが大規模とまでは言えない。クの尾根にはほとんど露岩が見当たらず

ケ.北の谷の最北を流れる沢。「仙宮のたき」候補地の1つ。

赤光りする岩盤の上を沢がしたたり落ちる。写真の通り滝と呼べる規模ではない。

コ.この隔絶された地点で、明らかに人工的な石垣がある。

周囲には他に何の人工物も見当たらず何のため造られたか全く不明。
積み方は新しい時代? この周辺一帯は傾斜がなだらかな特徴がある。 
与喜山中でここまで人工的な設備を見るのは稀なので非常に気になる。

サ.「北ののぞき」の北を流れる沢。「仙宮のたき」候補地の1つ。

ケ地点のように、赤光りする露岩の上を沢が流れ落ちる。

シ.一大巨岩群が存在

写真一面が岩壁。胴体と頭のような積石は、無数の石仏群のような趣さえある。

その一番最頂部には、このような亀裂もある。
まつられていてもまったくおかしくないが、ここに狛犬などの祭祀設備はない。

ス.北の谷の南側の沢。その沢の最上部は、行き止まりのように露岩が存在する

他の地点の巨岩群に比べて特筆すべき規模ではないが、平坦面が広め

セ.「北ののぞき」の尾根上方に存在する立岩 (過去報告済)

鋭角的な形状が特徴的。 尾根上立地も特徴的。

 基部に別の岩塊が重なる様は人為性さえ感じる

ソ.北ののぞき(過去報告済)

いつも思うが、突然現れる。前後左右どこも道は消失している。

どのルートをたどってこの設備を運んだのか

「北ののぞき」は瘤状に盛り上がりまさに峰上地形。露岩に刻字も見られる。

巨岩群の中心部。ブロックのような直線的な積み重なり

巨岩の基部。かませ石のように見え、亀裂の産物なのか判断に苦しむ

  
北側の狛犬の基部に石垣があった。コ地点との比較のため撮影。
これを見るかぎり、コ地点の石垣とは造り方が違う。 

「北ののぞき」 の南側に広がる一大岩壁

「北ののぞき」の名の由来となった展望地点

ここからは長谷寺も肉眼で望むこともできる 



今後の課題と展望

  • 「仙宮のたき」については、『長谷寺境内図』の絵画的誇張による可能性を挙げておきたい。北の谷の主要な谷間をおおむね見尽くしたが、これほどの滝地形は北の谷にはない。複数の谷間に沢があり、小さな岩の段差がある。これらのいずれかを滝と称したものか。
  • 踏査の都合上、前日も含めて雨が降っていない晴天の日を選んでいるため、水量が極めて少ないなかで訪れている。また、過去からの地形変化がどれほどあるのかも判断しがたい。 
  • 「三の磐座」については、狛犬が2体とも崩落したとしてもその残骸などが谷底などで確認できるはずなのにそれもない。ということは、まだどこかにあって見つけられていないと考えた方が良い。しかし、今回でひととおり北の谷は踏査しつくした感がある。
  • 藤本浩一『磐座紀行』の記述を信じる限り、「三の磐座」は北の谷の中にしか求めることはできず、「北ののぞき」よりも南側あるいは西側で、記述および写真の様子から尾根上にあるはずだ。
  • 「三の磐座」は、狛犬が置けるスペースがあり、藤本浩一によれば「横に広がる空間」の立地らしい。結構目立つ立地のはずである。1つの仮説だが、今まで通ったルートにおいて見落としがあるかもしれない(正直、1つの地点を360度の角度から見ている地形的余裕がない場合が多い。裏側や数m先にあるだけで見逃したなどあるかもしれない)
  • ということで、次回踏査は、 これまでの踏査で観察が甘いと感じるオ地点~ス地点の間の尾根上あたりを綿密に観察したいと考えている。

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