2016年11月10日木曜日

参考文献~祭祀・信仰研究全般~

旧ホームページより掲載します。

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小野真一 『祭祀遺跡』(考古学ライブラリー10) ニューサイエンス社 1982年
静岡県考古学の重鎮・小野氏による代表的著書。題名の通り、正しく祭祀遺跡の実態を学ぶことができる基本テキスト。1982年時点での研究成果ではあるが、祭祀遺跡を巡る研究史、縄文時代~歴史時代の各遺跡の変遷などがコンパクトにまとめられている。管理人はなぜか2冊買ってしまった。

小野真一 『祭祀遺跡地名総覧』(考古学ライブラリー11) ニューサイエンス社 1982年
『祭祀遺跡』の姉妹編。全国の祭祀遺跡地名表。 歴博の『共同研究「古代の祭祀と信仰」附篇 祭祀関係遺物出土地名表』と併用すると精度の高い情報収集ができるだろう。

大場磐雄 『神道考古学論攷』 葦牙書房 1943年 
神道考古学の定義、学問領域、主要遺跡の各説をおおよそ網羅した代表作。戦前の発表で説にも古い部分があるので、後学者・初学者は下掲の『神道考古学講座』から読んだ方が良いかもしれない。

大場磐雄・責任編集 『神道考古学講座』第一巻~第六巻 雄山閣 1976~1981年 
大場博士没後、多くの門弟の力で完成に至った神道考古学の講座本全6巻。日本列島における「神道」なるものの発生・源流をたどる以上は外せない知識の集合体。

乙益重隆・網干喜教・坂詰秀一 「座談会 宗教考古学のイメージを語る」 『神々と仏を考古学する』(季刊考古学 第2巻) 雄山閣 1983年
3名の考古学者が、宗教を考古学することの難しさと危険さを率直に語り合う会話録。この座談会で挙がった課題・論点はいまなお考古学界で生きている。

椙山林継・菅谷文則・茂木雅博 「座談会 山を考古学する」 『山の考古学』(季刊考古学 第63巻) 雄山閣 1998年
椙山氏による祭祀考古学と神道考古学の違い、菅谷氏による山の考古学研究会の活動報告、茂木氏による信仰に限らない里山問題の提起などトピックは多岐に渡る。

坂詰秀一 「考古学と信仰」 『宗教を考古学する』(季刊考古学 第59巻) 雄山閣 1997年
形而下の考古資料を用いて形而上の信仰を研究することの難しさを論ずる。これまで果敢に取り組んできた諸研究を簡潔に整理しつつ、他学問の力も借りた上での心理考古学とでも呼ぶべき方法論の確立が必要と説く。下の著作のプレリュード的な論文。

坂詰秀一 『歴史と宗教の考古学』 吉川弘文館 2001年
祭祀・信仰を研究する考古学徒は必読すべき文献。管理人にとっては、祭祀研究する際のスタンスや前提部分を学ばせてくれた座右の一冊。

佐野大和 『呪術世界と考古学』 続群書類従完成会 1992年
大場博士の神道考古学の分野を発展。時期ごとでの祭祀の変遷を、考古学が培ってきた遺物・遺構の編年観に基づいて整理。

真弓常忠 『神道祭祀』 朱鷺書房 1992年
神道儀礼に関わる知識を初学者向けにまとめたテキスト。現代の神社神道に忠実な論筋ではあるが、それでも神事の基本順序を学ぶことは古代祭祀研究においても欠かせない視点。

野本寛一 『神々の風景-信仰環境論の試み-』 白水社 1990年
なぜ信仰を理解することが大切なのか。神社や民俗信仰が現代日本において陰ながら果たしている役割を言及し、未来に引き継ぐべきその大切さを主張する。単なる研究のための研究にとどまらない、哲学としての次元に達する文献。

倉林正次・編 『日本祭祀研究集成』全6巻 名著出版 1976~1978年
日本の古代祭祀を学ぶ者は必読し、前提知識として入れておくべき資料。刊行が古いので最新研究ではないが、複数の研究者による諸々の論文が収録されている。お薦めは西角井正慶「古代祭祀の型態」、萩原龍夫「祭りの見かた・理解のしかた」、大林太良「儀礼」。

折口信夫 「祭りの話」 折口博士記念古代研究所・編 『民俗学篇』1(折口信夫全集 第15巻) 中公文庫 1976年
折口信夫の祭祀に対する考え方を学ぶ。霊魂の移動、出入り、入れ物の存在などを軸として信仰世界が語られる。

堀一郎 『日本のシャーマニズム』(講談社現代新書256) 講談社 1971年
聖と俗が紙一重であること、人をまつり、異形視する心の動きを知るにあたり勉強になる文献。

景山春樹 『神体山』(新版) 学生社 2001年 
原著は1971年の発表。全国各地の代表的な神体山を取りあげて解説。民俗の視点というよりは、やや神道学的見地に立った論調のため歴史叙述はやや一面的か。

岡田精司 「神と神まつり」 石野博信・岩崎卓也・河上邦彦・白石太一郎・編 『古墳時代の研究 第三巻 生活と祭祀』 雄山閣 1991年
古代神祇祭祀研究を専門とする岡田氏による、考古学者の安易な祭祀解釈に釘を刺す刺激的な論考。ミヤケとヤケの祭祀の違いから、祖霊信仰絶対主義と古代大型建物神殿説への大きなアンチテーゼを提示する。

岡田精司 「古墳時代の祭祀-研究の原点-」「古代祭場の一般的条件」(考古学研究会第45回総会資料 統一テーマ『まつりと権力』) 1999年
同じく岡田氏による、従来の考古学祭祀研究への批判的な問題提起(レジュメ資料)。首長霊継承儀礼、折口信夫説、大型建物神殿説の非現実性を律令期神祇祭祀のあり方から指摘。祭祀はかくあるものという厳格な基準設定に四角四面なところもないではないが、最古級文献の祭祀実態に立脚すべきとする岡田氏の考え方に管理人は賛成。

椙山林継 「祭器」 石野博信・岩崎卓也・河上邦彦・白石太一郎・編 『古墳時代の研究 第3巻 生活と祭祀』 雄山閣 1991年 
実用土器と祭祀用土器の違いの説明から入り、手捏土器を中心に祭器認定の方法や灯明皿痕跡分析の視点を提示。

池田源太 「瓶尊と古代人の情緒」 末永先生古稀記念会・編 『末永先生古稀記念 古代学論叢』 1967年
変わったタイトルだが、土器に込められた霊性や信仰を、土器製作や貯蔵容器としての観点から論述し、1つ1つの着想が興味深い。このような切り口の土器研究が邁進すると考古学界も面白いはず。

三品彰英 『三品彰英論文集 第五巻 古代祭政と穀霊信仰』 平凡社 1973年
神話学者として著名な三品氏による弥生時代青銅器祭祀の性格と、古墳時代の神祭りの姿を「地的宗儀」「天的宗儀」という2つの概念で説明。該期の祭祀イメージに大きな影響を与えた仮説。

尾崎喜左雄 「古墳から見た宗教観」 『上代文化』第35輯 1957年
葬儀というと安直に「ケガレ」の概念を持ち出して、古墳をまるで封印しておかないといけない何かのように語ってしまう向きがあるが、そのような現代的先入観と真っ向に対峙する論考。故人を葬るということはどのような心の働きなのか、古墳は忌避されるべき構造物となっているのか、改めて考えさせられるポイントを多く含む。古い論文だが、管理人の古墳祭祀に対する考え方は尾崎氏のこの研究に示唆を受けたところが多い。

大平茂 『祭祀考古学の研究』 雄山閣 2008年
大場博士の『神道考古学論攷』、椙山林継氏の祭祀考古学会創設、佐野大和氏の『呪術世界と考古学』と連なる「神道考古学-祭祀考古学系譜」の新たな金字塔。2008年時点での芳醇な学問成果、研究史、編年観を取り入れて祭祀考古学を再構築している。

小杉康・谷口康浩・西田泰民・水ノ江和同・矢野健一・編 『心と信仰-宗教的観念と社会秩序-』(縄文時代の考古学11) 同成社 2007年
文献がまったく存在しない縄文時代の祭祀・信仰をどのように研究するべきか。純然たる科学の一分野としての立場から、理論考古学・民俗学など最新の分析視点に基づく論考を収録。従来より巷間で人気の配石遺構天体運行説を批判的に論じる太田原(川口)潤「大規模記念物と二至二分」、他学問の概念をあえて安易に利用せず遺跡の分析から抽象概念を解いた丹羽佑一「他界観念」、石棒や配石遺構などを祖先祭祀のモニュメントとする谷口康浩「祖先祭祀」などが興味深い。

安斎正人・小野正文・黒沢浩・椙山林継・平川南 『祭りの考古学』(暮らしの考古学シリーズ④) 学生社 2008年
2000~2001年に行われた講演会の内容をもとに、最新の研究成果を肉付け文章化したもので、文体はです・ます調の比較的平易な読み口。旧石器時代・縄文時代・弥生時代・古墳時代・歴史時代の5つの時代に章立てされて、各時代の専門家が解説。講演録の色が濃いのでいまいち掘り下げが薄く、祭祀研究に消極的な立ち位置の人もいるので玉虫色の話に終わっていることが多かったりする。最終章の平川南「古代の祭祀-その多面性を出土文字資料からさぐる-」は墨書土器の素朴な疑問から、その消長が面白く論じられている。

椙山林継・山岸良二・編 『原始・古代日本の祭祀』 同成社 2007年
縄文時代から歴史時代までの若手・中堅研究者による論文群を椙山・山岸両氏が編集。収録論文のテーマは多岐にわたるので、読み手が関心のあるものを読む論文集スタイル。

時枝務 『修験道の考古学的研究』 雄山閣 2005年
神道・仏教・道鏡・陰陽道などと境界を切り合う修験道・山岳仏教の総合的研究。修験道考古学を知るにあたってのバイブル。

時枝務 『山岳考古学』(考古調査ハンドブック6) ニューサイエンス社 2011年
山岳宗教だけに囚われがちだった従来の枠を外して、山地利用の考古学全体を考えなければいけないと提唱。概説から主要遺跡の紹介、山岳に関わる関連文献リストまで、この種の分野を研究するための「手始めの書」と言えそう。山麓祭祀の場に巨石が多いのは、山中でよく見る巨石が山と共通する性質を持つ存在とみなされたからだと指摘。古墳時代は山麓祭祀であるとする考え方だが、明らかに山腹祭祀の資料も掲載しており、その辺りの評価が気になるところ。

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